研究課題/領域番号 |
01570199
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 豊 九州大学, 医学部, 講師 (50135349)
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研究分担者 |
石井 寛 九州大学, 医療短期大学部, 助教授 (10150400)
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
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キーワード | 解離性大動脈瘤 / ラット / β-aminopropionitrile / 高血圧 / 弾性線維 / 透過電顕 / 走査電顕 |
研究概要 |
解離性大動脈瘤は急激に発症し、破裂等によって死亡する重篤な疾患であるが、その原因についてはよくわかっていない。近年細胞外線維成分に注目した研究がなされているが、未だ確定的な知見は得られていない。本研究では大動脈の構造、特に弾性線維の構造の変化、ならびに高血圧が解離性大動脈瘤の発生にどのような影響をおよぼすかを検討するために以下の実験を行なった。3週令のラットを対照群、高血圧群、β-aminopropionitrile(BAPN)負荷群、高血圧+BAPN負荷群の4群(各群10頭)に分けた。BAPNは0.4%になるように通常の食餌中に混じ経口投与した。高血圧は3週令時に偏腎摘出を行ない、それ以降deoxycorticosterone acetate(DOCA)と食塩水を投与することによって誘発した。BAPN負荷群では10頭中4頭が、高血圧+BAPN負荷群では10頭中8頭が解離性大動脈瘤を発症し死亡した。また高血圧+BAPN負荷群における発症時期はBAPN負荷群の発症時期よりも早く、高血圧が発症の促進因子となっていることが示唆された。途中解離性大動脈瘤を発症し死亡したものはその時点で、それ以外のものは9週令時屠殺し、光顕、透過電顕を用いて上行大動脈の弾性線維の変化を観察した。また上行大動脈の一部を蟻酸で処理することによって弾性線維を残存させた後、その形態を走査電顕を用いて観察した。この結果BAPN投与群において弾性板間に存在する弾性線維の著名な減少が見られ層と層の間が離開しやすくなっていることが示唆された。この変化はヒトの解離性大動脈瘤に見られた変化と同様の変化であり、解離の発生に大きく関与する可能性が示唆された。
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