研究概要 |
本研究の目的とした3点、1.リソゾ-ム酸性α-グルコシダ-ゼのアミノ酸配列ならびにcDNAの構造決定,2.Pompe病培養線維芽細胞を用いリソゾ-ム酸性α-グルコシダ-ゼの遺伝子の構造決定。3.Pompe病培養線維芽細胞の現在保有株をさらに増やし検討を行う、について、1,2の点は、現在リソゾ-ム酸性α-グルコシダ-ゼをSephacryl S-200のアフィニティ-クロマトグラフフィ-とクロマトフォカシングで精製すると4つの分子種が得られることが明らかとなり、それらのアミノ酸配列をN末端から100個とリジルエンドペプチダ-ゼ切断端について検討した。その結果、4分子種は同じ遺伝子産物であることが明らかになった。他方、mRNAを精製と、アミノ酸配列が明らかになった部分で合成DNAを作成しcDNAの検討を進めている。これが明らかになると次ぎに培養線維芽細胞を用いたCRM(cross reactive material)の検討とPompe病のCRM遺伝子についての解析を行う準備をしている。(以上は、第62回日本生化学会大会に2つの演題として発表した。) 次に、3については症例の検討として1例の成人型Pompe病を検討しそのリンパ球にも酸性α-グルコシダ-ゼ活性は欠損しているが、抗酸性α-グルコシダ-ゼ抗体と反応する物質(CRM)が存在することを明らかにして、Arch.Neurol.46,460-463,1989に発表した。症例の収集は、この1例だけであったので、さらに多数例を追加することを検討している。 平成2年度に行う研究の準備、現在保有しているPompe病培養線維芽細胞にSV40ラ-ジT領域DNAを導入し、細胞の性状を検討しているが、充分CRMのcDNA解析に使用することが出来ることを確認した。症例は現在5例を保有しているが、さらに増やすことが必要であると考え、沖縄県内の種々の施設と連絡を取っている。
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