研究概要 |
骨髄移植細胞の拒絶は宿主の免疫担当細胞、おそらくT細胞あるいはNK細胞により拒絶される。in vitroにおける移植骨髄拒絶機構解析のための実験系を作るにあたって、先ず、移植骨髄細胞が造血臓器、マウスにおいては脾臓内で拒絶が起こるか否か、CFU-S以外のprogenitorが拒絶のtargetとなりうるかを確かめる実験を行った。Allogeneic resistanceおよびHybrid resistanceの組合せとして、それぞれ、DBA2(D2)骨髄細胞を放射線照射C57BL/6(B6)に(D2→B6)、B6骨髄細胞を(C57BL/6×DBA/2)F1(B6D2F1)に(B6→B6D2F1)尾静脈より移植し、移植後宿腫脾細胞を用いて計時的にcolony assayを行った。この結果、移植骨髄補胞は移植後3時間から48時間以内に脾臓内で拒絶され、さらにCFU-S以外にも、in vitroで解析可能なprogenitor,CFU-GEMM,BFU-E,CFU-GM,CFU-G,CFU-Mが宿主による拒絶のtargetとなりうることがわかった。次に,宿主マウスをNK細胞にたいする抗体で処理したり、NK活性増強剤で処理することにより拒絶の強弱を比較すると、前者では拒絶が著しく弱まり、後者では無処置の場合拒絶の見られないB6→D2の組合せでも拒絶が認められる等、拒絶を著しく増強した。このことから移植骨髄細胞の拒絶には宿主のNK細胞が関与していることが確認された。一方、B6及び、B6D2F1脾細胞を用いてのNK細胞とT細胞の分離はB細胞を取り除いた後、percol density gradientを用いて行った。Fraction 1及び2では強いNK活性がみられ、Fraction 4ではほとんどNK活性が見られなかった。表面抗原的には前者にはasialo GM1陽性細胞が多く、後者ではほとんどがThy 1陽性であり、NK細胞とT細胞の分離に成功した。現在、これらの細胞を用いてのin vivoにおける拒絶反応実験を行うと共に、B6およびB6D2F1脾臓から骨髄progenitorの増殖が可能なstromal cell lineの作製を試みている。
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