SLE様の全身性の自己免疫病を自然発症するマウスとしてBWF1やMRL/1pr等多数開発されている。一方、臓器局在性の自己免疫病を自然発症するマウスは少数である。そのなかで自己免疫性とされている膵島炎を自然発症し、その結果I型糖尿病に陥るマウスとしてNODマウスが注目されている。われわれは標準的なマウスであるBALB/cやA/Jマウスの胸腺摘出(Tx)を生後3日におこなう(Txー3)と、甲状腺、胃、等に臓器局在性の自己免疫病が自然発症するを明かとしてきた。同病変はTxー7マウスには発症しない。本研究では自己免疫病を自然発症するマウスの新生時期におけるTxが、本来の自己免疫夫の発症にどのような効果をもたらすか、また新たに臓器局在性の自己免疫病の発症がみられるかどうかを検討し、自己免疫病の発症機序を考察した。 Txー3をしたBWF1やMRL/1prマウスには腎炎や血管炎の発症がみられた。その発症頻度や程度は無処置マウスとほぼ同様であった。一方同マウスには卵巣や胃等にも臓器局在性の自己免疫病の発症がみられた。全身性ならびに臓器局在性の自己免疫病の発症がみられた。全身性ならびに臓器局在性の自己免疫病を引き起こすエフェクタ-細胞は、生後非常に早い時期に胸腺から末梢に出現していることが伺えた。Txー3をしたNODマウスにも複数の臓器に臓器局在性の自己免疫病の発症が認められた。同病変はTxー7あるいはTxー14でも発症する例がみられ、NODマウスの胸腺の機能に欠陥があることが示唆された。ところでTxー3マウスにも膵島炎は発症するが、同病変は無処置マウスに比較して発症率および程度が低い傾向がみられた。Txにより発症する自己免疫病は正常マウスの末梢のL3T4陽性のTリンパ球の注射で予防できた。
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