研究課題/領域番号 |
01570222
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
青木 孝 順天堂大学, 医学部, 助教授 (20053283)
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研究分担者 |
山崎 浩 順天堂大学, 医学部, 助手 (00138207)
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キーワード | トリパノソ-マ科原虫 / Leishmania / Crithidia / Acivicin / Allopurinol / 核酸前駆体 / 細胞増殖阻害 / 化学療法 |
研究概要 |
本研究では、抗種瘍剤Acivicin(ACV)とプリン誘導体Allopurinol(HPP)を単独または組合せで投与し、Trypanosoma科原虫のCrithidia fasciculataの無血清培地(GIT)における増殖阻害を測定した。その結果、ACVによる50%増殖阻害濃度(IC_<50>)は1.5μM、HPPのそれは10μMであった。両薬剤を低濃度で同時投与したところ、相乗的阻害を認めた。さらに、20μM ACVによって細胞密度はコントロ-ルの10%に低したが、この増殖阻害はそれぞれ10μMのcytidine+guanosine(又はdeoxyguanosine)によって回復した。すなわち、ACVはGMP synthetaseとCTP synthetaseを同時に阻害することにより、CTP、GTP、dGTPの合成を阻害し、その結果としてRNA、DNA合成を阻害し、細胞の増殖を阻害するものと考えられた。 これに対して、10μM HPPでは中程度(50%)の細胞増殖阻害がみられたが、この阻害に対して高濃度(200μM)のhypoxanthineやadenosineのようなプリンによる抗体作用は小さく、むしろuracil、uridine、cytidineのようなpyrimidinesの方が拮抗作用は顕著であった。したがってHPPの標的はプリン合成系ではなく、pyrimidineヌクレオチド新生(de novo)合成系に存在することが推察された。 さらに、Leishmania mexicane amazonensisに対して上と同様の条件下でACVの添加効果を調べたところ、IC_<50>=nMという超低濃度で増殖阻害効果が観察されたので、現在その作用機構を解析中である。
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