研究概要 |
C3/C5転換酵素系は,補体の活性化によって生じた3分子の活性型成分が,微生物表面に順次結合して形成されるタンパク質集合体である。古典経路の本酵素系C4b2a3b複合体内で,C3bはC4bに直接エステル結合しているのでC4b上のC3b結合部位を特定する事を目的として実験を行った。 C4bとC3bが共有結合した二量体を精製し,酵素消化とカラムクロマトグラフィ-によりC4とC3由来の部位を含むペプチドを精製した。このペプチドは従来のSDSーPAGE法では分子量1万7千と算定されたが,低分子量領域での測定がより正確に行える尿素含有SDSーPAGEにより分子量7万のC3b由来のペプチドが分子量7万のC4b由来のペプチドにエステル結合していることが分かった。一次構造解析の結果C4b由来のペプチドはAla 1186ーLys 1259であることが分かった。この領域内では,12個のエステル結合形成可能な残基(Thr,Ser,Tyr)が存在するが,マウスC4の配列と比較し,8残基が保存されていることを知ったのでこの8残基をsiteーdirected mutagenesisの対象とする事とした。また,基質C5が,C5転換酵素に結合する時には,C3bとC4bの両方に結合する。溶血活性が殆どない異常C4であるアロタイプC4A6は,C4b2a3b複合体を正常に形成するのに,その複合体には,C5が全く結合できないことを見いだし,発表した。C4A6の一次構造解析がOxford大学で行われ,β鎖内のArg458がTrpに変異していることがわかったので,この残基がC5の結合部位に重要である事がわかった。
|