研究概要 |
C3/C5転換酵素系は,補体の活性化によって生じた3分子の活性型成分が,微生物素面に順次結合して形成されるタンパク質集合体である。古典経路の本酵素系C4b2a3b複合体内で,C3bはC4bのAla1186からLys1259の領域のどこかに直接エステル結合していることが前年度の研究で明らかになった。今年度はこの領域のどのアミノ酸残基にC3bが結合しているか決定するために,Siteーdirected mutagenesis法により変異させたC4を用いて実験を行なった。エステル結合形成可能なセリン,スレオニン,チロシンをアラニンかフェニルアラニンに変える変異を行なった所,Ser1217をアラニンに変えると,複合体形成が著しく悪くなる事を見い出した。Ser1217とSer1219を同時に変えると全く複合体を形成しなかった。この事から,C3bのエステル結合部位はSer1217であり,これがない時には,低い効率でSer1219に結合する事がわかった。既ち,C3bのC4bへの結合は,特異的な反応である事が示された。この反応は,C5転換酵素がC5を分解活性化するのに必要な一定の4次構造を形成するのに重要であると考えられる。 C3をヒトからマウスに変えても同様にSer1217に結合する事を確かめた。この事は,C4bと特異的に結合する機能が普通的なものである事を示唆している。 第2経路のC5転換酵素は,C3b上に第2のC3bがエステル結合したC3bBbC3b複合体であるという我々のモデルを証明するためC5転換酵素の結合した多糖体からC3bーC3b二量体を分離精製し,B,D,P因子とともにC5転換酵素を再構成する事を試みた。予想通り,C3b二量体は,B,D,Pと反応する事によりC5転換酵素を形成したので,我々の支持する新たな証拠が得られた。
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