研究概要 |
エルト-ルコレラ菌とVibrio vulnificusの溶血毒両者のアミノ酸配列を中型コンピュ-タ-を用いてさらに詳しく比較したところ両者は,申請時に発見した8個の完全一致部位だけではなく,遺伝し全体において広く共通性があることがわかった。特にタンパク質の構造に強い影響を持っていると考えられるcysの位置は非常によく保存されており,両遺伝子が単に活性が類似しているというばかりでなく,進化の上で,共通の祖先を有していたことを強く示唆した。しかし,申請時に発見した8個が再々の連続した共通のアミノ酸でそれ以上の共通するアミノ酸配列はみられなかった。従って当初計画した通りこの部位に関してsiteーdirected mutagenesis法で変異遺伝子及び変異溶血毒の作成を行なった。アミノ酸配列番号226ー233の間で各種の変異ブロ-ブを合成し,Kunnkel法を落ちいて変異株を5株作成した。そのうち3株については発現ベクタ-に再クロ-ン化し大腸菌JM109中での発現を試みた。もとのエルト-ル溶血毒遺伝しhlyAを有するプラスミドはコロニ-の周りに大きな溶血環を形成するのに対して変異株はいずれも血液寒天平板上でほとんど溶血活性を示さなかった。このことは,このドメインが溶血活性に重要な役割を示していることを示唆している。以上本年度はin vivoでの活性をいくつかの変異株で調べたが,来年度は,変異株が産生する溶血毒を精製し定量的なin vitroでの比活性を正確に測定することを計画している。
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