研究概要 |
Legionella pneumophilaのマクロファ-ジ内増殖を許すA/J系マウスと、それを許さないC57BL/6系マウスのマクロファ-ジ機能の遺伝支配を解析した。その結果、菌の細胞内増殖を抑制する形質が優性で、常染色体上の一遺伝子に支配されていること、この遺伝子は15番目の染色体のLyー6,Polー5,Sisの近くに存在することを明らかにした。我々はこの遺伝子をLgnー1と名づけ、Infection and Immunity 1991年2月号に発表した。 現在C57BL/6の抵抗性遺伝子をA/Jに入れてcongenicマウスを作製中であり、7代までの交配が進行中である。 マウスはLegionella感染に対し抵抗性の動物であり、マクロファ-ジの自然抵抗性が重要な因子である。しかし、マウスに抗IFNーγ抗体を投与してL.pneumophilaを感染させると臓器内の菌数が増加する。感染早期に産生されるIFNーγが感染抵抗性発現に重要であると考えられる。現在IFNーγ産生細胞を検討中であるが、Tリンパ球またはナチュラルキラ-細胞であるという結果は得られていない。 一方C3H/HeJはLPSに低反応性のマウスで、この系のマクロファ-ジ内でもL.pneumophilaの増殖がおこることを見い出した。LPSレスポンスが正常なC3H/HeNのマクロファ-ジは菌の増殖を抑制した。菌の増殖はLPSレスポンスの低さと相関したので、マウスマクロファ-ジのL.pneumophilaに対する自然抵抗性にはLPSによる活性化のメカニズムが関与していることが示唆された。
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