Legionella pneumophila感染に対し、モルモットは感受性、マウスは抵抗性を示す。この動物種差について解析し、以下の結果を得た。 1、モルモットはL. pneumophilaに感受性(LD_<50>=7.6×10^4)で、本菌はマクロファ-ジ内で、よく増殖した。感染免疫は菌接種4日目から産生されるIFNーγで活性化されるマクロファ-ジに依存することが明かとなった。 2、C57BL/6マウスのLD_<50>は7.3×10^7でマクロファ-ジはin vitroで菌の増殖を許さなかった。 3、A/J系マウスのマクロファ-ジ(in vitro)内では菌は2日目で約100倍以上に増殖した。LD_<50>は2.9×10^7でC57BL/6の2.5倍に増加したものの、マクロファ-ジに続く防御因子の存在が示唆された。抗IFNーγ抗体をあらかじめ投与しておくと、A/Jマウスの臓器内菌数は著明に増加した。このことは感染早期に産生されるIFNーγが感染防御の重要な因子であることを示している。 4、A/Jマクロファ-ジとC57BL/6マクロファ-ジのL.pneumophilaに対する抵抗性のちがいについて遺伝解析を行った。その結果、抵抗性の形質が優性で、15番目の染色体上にある一遺伝子により支配されていることを明らかにし、この遺伝子をLgnー1と名付けた。 5、細菌内毒素LPSに対する反応が低いC3H/HeJのマクロファ-ジ内では、反応が正常なC3H/HeNマウスのマクロファ-ジ内よりもL.pneumophilaの増殖のこう進が認められた。この増殖とLPS responseは負の相関を示した。マウスマクロファ-ジの自然抵抗性にはLPSで活性化される殺菌機構が働いていることを示唆した。
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