研究課題/領域番号 |
01570286
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山本 正治 新潟大学, 医学部, 教授 (40018693)
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研究分担者 |
高木 修子 新潟大学, 医学部, 助手 (30134109)
渡辺 厳一 新潟県労働衛生医学協会, 健康開発研究所, 所長 (50018280)
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キーワード | 胆道癌 / 疫学 / 胆汁 / 突然変異原性 / レック・アッセイ |
研究概要 |
本研究の目的は胆道癌(胆嚢癌及び肝外胆管癌)の多発地域と非多発地域に居住するヒトから得た胆汁の突然変位原性の有無を比較検討し、本症の成因の解明に寄与しようとするものである。本症の多発地域として新潟県、非多発地域を高知県として両県の主要病院を胆石症その他腹部手術で受診した患者から得た切除後胆嚢から胆汁を採取した。なお患者の同意は主治医より得ている。現在までに新潟県から80例、高知県から30例の胆汁標本を集めている。 今年度は新潟県で得られた胆汁についてレック・アッセイ法の技術的確立及び突然変異原性の評価方法について検討を行った。その結果の概略は以下のとおりである。 レック・アッセイはBacillus cubtils(枯草菌)のsporeでDNA傷害修復作用のあるrec^+菌とないrec^-菌を用いた。突然変異原性の有無の評価には、rec^+菌とrec^-菌での最小生育阻害胆汁量を調べ、その比(rec^+/rec^-)が2倍以上のものを突然変異原性ありと判定した。26例検索したうち、7例(26.9%)に突然変異原性が認められた。なお、変異原性の有無別胆汁組成の差異については、ガスクロマトグラフィ-、原子吸光法などにより現在検討中である。 次に、胆汁の共変異原性(既知の突然変異原物質の作用を増強せしめる作用、co-mutagenicity)の有無を検索した。本研究では、既知変異原物質としてマトマイシンC(MMC)を用いた。まずrec^+菌でMMCが生育阻害を起こさせない量を求めた(0.004Mg/disc)。判定はrec^-菌において胆汁+MMC群の生育阻止帯(ww)/MMCのみの生育阻止帯(ww)の比を求めた。有意性の検定は帰無仮説HO:両群に差がない、即ち比=1として対応のあるt検定を行った。その結果、胆汁全体としてみた場合共変異原性が存在した。今後、新潟県と高知県の比較を行う予定である。
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