研究課題/領域番号 |
01570287
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
久永 直見 名古屋大学, 医学部, 講師 (90111856)
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研究分担者 |
柴田 英治 名古屋大学, 医学部, 助手 (90206128)
小野 雄一郎 名古屋大学, 医学部, 講師 (80135334)
竹内 康浩 名古屋大学, 医学部, 教授 (90022805)
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キーワード | 石綿 / 建築業 / 粉じん暴露濃度 / 胸膜肥厚 |
研究概要 |
建築業における石綿粉じん暴露実態把握とその健康影響の解明を目的として調査を行い、以下の結果を得た。 1.建築現場19箇所で、85名の作業者の鼻先の気中石綿粉じん濃度を光顕法(×400)により測定。屋内での建材の丸鋸切断が主の作業では6.3〜787f/ml、その4m以内の作業では3.6〜630f/ml、建材のビス打ち付けが主の作業では0.6〜28.8f/ml、その4m以内の作業では0.1〜19.2f/ml、屋外での作業では0.01〜1.2f/mlの石綿粉じんを検出。 2.上記のうち9箇所、27名の作業者の鼻先の気中石綿粉じん濃度を分析電顕方(×10000)で測定。電顕で観察された線維状物質中に石綿の占める比率は、平均45%で、残りは石膏、ロックウ-ル等であった。石綿粉じん濃度は、屋内作業者21名では0.38〜260f/ml、幾何平均14.6f/ml、屋外作業者6名では0.06〜2.25f/ml、幾何平均0.39f/ml。石綿の種類は、クリソタイルとアモサイトで、アモサイトの割合は平均53%。電顕法による石綿粉じん濃度は、光顕法より平均9.0倍高値。光顕法と電顕法との間の測定濃度の相関係数は、0.87(p<0.01)であった。 3.質問紙調査に8797名の回答を得た。「石綿粉じんの吸入よくあり」が13.0%、「時々あり」が27.5%を占めた。石綿建材取扱い経験は平均14年。現在喫煙者は60.3%、過去喫煙経験者は18.4%であった。 4.胸部X線撮影を4796名につき実施。うち34名(0.71%)に石綿暴露起因と思われる胸膜肥厚陰影あり。胸膜肥厚有所見率は高年齢で高く、60-69歳では4.4%を占めた。 5.今回の研究結果からみると、建築業従事者には既に過去の石綿暴露による胸膜肥厚が認められるが、今後悪性腫瘍を含めた健康障害増加の可能性が高く、暴露防止・健康障害早期発見対策の強化と疫学的観察は、極めて重要と考えられる。
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