研究課題/領域番号 |
01570293
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
竹中 均 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10179658)
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研究分担者 |
濱田 稔 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (90039529)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | 虚血再潅流障害 / 過酸化障害 / 筋小胞体 / 筋形質膜 / ミトコンドリア / 心機能 / 異所性心移植 / UW液 / Univ. of Wisconssin in solution |
研究概要 |
細胞の過酸化障害の発生機序を生化学的に解明する目的で、家兎あるいはラット心臓に低温で虚血、及び37℃で再潅流処理を加え、心筋の節小胞体(SR)、筋細胞形質膜(SL)、及びミトコンドリア(MIT)の性質を調べた。更に虚血・再潅流後の心機能及び異所性心移植後の病理像を観察した。家兎心の虚血保存と再潅流処理は、Ca輸送酵素の解裂による量的変化の結果、保存時間に依存してCa輸送能とCa依存性ATPase(CaATPase)活性を低下させた。他方、SLのイオン輸送能は虚血再潅流処理により失活しなかった。再潅流処理はCaATPaseの分解のみならず、活性中心の化学修飾と推測される質的変性も引き起こした。この現象のモデルとして家兎骨格筋SRを活性酸素生成系と処理すると、SH基の酸化と平行したCaATPaseの失活、急速なCa輸送能の低下、緩徐なCaATPaseの分解、より緩徐な過酸化脂質の生成が処理時間依存的に発生した。以上の事実は、SRの活性酸素による障害はリン脂質膜より酵素蛋白質により顕著に発生することを示唆したが、CaATPaseの分解様式は、虚血・再潅流障害過程の心筋のそれと必ずしも一致しなかった。長時間低温虚血保存したラット心の再潅流時の機能を調べた結果、酸素消費から収縮の総仕事へのエネルギ-変換効率は、8時間保存を境に低下し、この低下はMITの酸化的リン酸化能の低下と対応した。長期低温保存心の移植後病理像とMIT機能の変化を調べた結果、再潅流障害は血液潅流開始後短期に発生すること、障害の程度は保存条件、特に臓器浮腫の抑制により低下すること、Wisconsin大学保存液がこの観点から有効であることが示された。虚血再潅流肝ではビタミンEの前投与によってMIT機能障害が軽減した。以上の事実から、再潅流障害は潅流開始後短期に発生し、ラジカル捕捉剤で抑制され、障害部位は形質膜ではなくMIT及び小胞体に大で、障害の機序は脂質過酸化よりも酵素蛋白質の修飾が主であることが示唆された。
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