1.吸入曝露実験装置の製作・改良:本教室に既存した吸入曝露実験装置と除害装置にガス漏洩検知警報器と専用除害設備とを付設することにより、健康上だけでなく防災上も危険な特殊材料ガスの曝露実験を安全に遂行することを可能とした。 2.予備実験:まず、窒素希釈の1%シランを用いてニ-ドル弁による流量調整とガスクロによる経時的濃度測定を行なった結果、5〜2000ppmの範囲内でチャンバ-内のシラン濃度を安全にコントロ-ルすることが可能となった。 3.本実験:現在までのところ、1000ppmシランでは1回30分〜8時間曝露と1日6時間4週曝露を、2000ppmシランでは1回30分曝露を行なった。この結果、 (1)死亡したマウスはなく、50%致死濃度(LC_<50>)は前記曝露設定条件以上であることが確認された。 (2)曝露後の体重減少については、シラン濃度、曝露時間ともに量・影響関係が示唆され、統計学的に検討中である。 (3)肝、腎、脾、膵の各臓器については、現在までのところ病理学的異常所見は認められていない。 (4)曝露中のマウスの行動より、シランの皮膚粘膜刺激性が推定された。また、一部の鼻腔、気管、肺の病理スライドから絨毛上皮の脱落、偏平上皮化生、うっ血などの所見が観察され、現在、検討中である。 4.今年度はシランの最低致死濃度(LC_<LO>)を求めるとともに、ホスフィンについてもシラン同様の実験を行ない、最終報告としたいと考えている。
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