研究概要 |
1、曝露装置作成:半導体材料ガスの安全面・健康面での危険性を考慮し、従前のチャンバ-を高気密性に改良し、半導体製造工場で使用されているものと同等のシリンダ-キャビネット、ガス配管、半導体材料ガス漏洩検知器、除害設備を導入し、万全を期した。 2、予備実験:本実験で使用する濃度レベルおよび曝露時間でのシランの大気中安定性を確認した。 3、1,000ppm1時間〜8時間曝露実験:満4週齢ICR系雄マウス(SPF)に1,000ppmシランを1、2、4、8時間曝露した結果、弱い刺激性以外の急性吸入影響は認められなかった。 4、1,000ppm2週間、4週間曝露実験:満4週齢ICR系雄マウス(SPF)に1,000ppmシランを2、4週間曝露した結果、4週間曝露群において鼻腔の浸出液、炎症性細胞および壊死細胞の有所見率が増加したのみであった。 5、2,500〜10,000ppm30分曝露実験:満4週齢ICR系雄マウス(SPF)に2,500、5,000、7,500、10,000ppmシランを30分曝露した結果、腎皮質の瘢痕が7,500ppm群4例、10,000ppm群6例に見られた、7,500、10,000ppm曝露群で肝機能指標の増加、リンパ球系の増加がみられた。 6、まとめ:以上の結果、シラン30分曝露のLC_<LO>は10,000ppm以上であり、4時間曝露におけるLC_<LO>は1,000ppm以上であった。今回の実験の範囲内ではシランの標的臓器は腎、肝、造血器(脾)であり、刺激性は文献で言われるほどには強くないと結論できる。
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