研究課題/領域番号 |
01570304
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
児玉 泰 産業医科大学, 医学部, 教授 (20037360)
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研究分担者 |
嵐谷 奎一 産業医科大学, 医療技術短期大学, 助教授 (10141748)
香山 不二雄 産業医科大学, 医学部, 助手 (50177614)
松野 康二 産業医科大学, 医学部, 助手 (40131940)
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 助教授 (60177748)
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キーワード | 大気汚染 / 室内汚染 / EGF / チトクロムPー450 / タバコ副流煙 / 多環芳香族炭化水素 |
研究概要 |
C3H/10T1/2細胞を用いて上皮成長因子(EGF)結合試験を行った。 ^<125>IーEGFと細胞表面のEGFレセプタ-との結合は60ー80分でプラト-に達した。この結合は細胞密度により異なり、細胞密度が低いほうが単位細胞当たりの ^<125>IーEGF結合量が多いことがわかった。細胞密度を一定にして10^<-5>M〜10^<-9>Mの各BaP濃度におけるEGF結合の変化を調べたが、各BaP濃度におけるEGF結合率は、コントロ-ルに対して92.7%(10^<-9>M)、70.4%(10^<-8>M)、82.9%(10^<-7>M)、75.3%(10^<-6>M)、104.0%(10^<-5>M)であり、明確な結合抑制は認められなかった。TPAにて確認されたEGFレセプタ-の結合抑制という観点より、マウス胎児線維芽細胞を用いてBaPによる結合抑制を確認し、室内汚染物質の発癌性検索手段となりうるものと考えているが、今回の結果からは明確な結論は得られなかった。つぎに、タバコ副流煙より得られたタ-ルを用いて姉妹染色体交換(SEC)およびチトクロムPー450誘導を調べた。タバコタ-ル(0.25mg)処理によるSCE誘発頻度は平均10.3±3.6で無処理(平均6.12±1.96)より高値を示した。ラットにBaP、BePおよびタバコタ-ルを腹腔内投与し、肝ミクロゾ-ムのγーGTPとチトクロムPー450の変化に調べたところ、γーGTP活性はBaP、BeP、タバコタ-ルいずれの投与群でも変化を認めなかったが、チトクロムPー450はBaPおよびタバコタ-ル投与群でコントロ-ル群に比べ有意に増加していた。また、BeP投与群でも有意ではなかったが増加していた。SDSーPAGEを行ったところ、BaP、BePおよびタバコタ-ル投与をうけたラットの肝ミクロゾ-ムでは分子量56,000付近にbandが出現しているのが認められた。このbandは分子量がおよそ56,000で、3ーメチルコラントレンで誘導されたbandと一致してることからPー450cと考えた。今回、生物学的評価法となりうる生体影響をin vivo、in vitroで調べたが、いくつかの指標で期待されたような結果は得られなかった。とくにEGF結合試験では細胞密度や細胞の状態により結合量が大きく影響されることから、結合試験の条件をより厳格に決める必要があることがわかった。今回の結果を参考にしてさらに検討を重ねる必要があると考えた。
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