防じんマスクには、“取り替え式防じんマスク"と“使い捨て式防じんマスク"とがある。取り替え式防じんマスクについては、着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を随時容易に検査できるものであること、という規定がある。しかし、使い捨て式防じんマスクは、マスクの構造上取り替え式防じんマスクと同様に規定することは不可能である。本研究は、この使い捨て式防じんマスクの顔面への密着性を定量的に評価する方法を開発し、その結果を基に、使い捨て式防じんマスクの適性な着用方法のマニュアルを作成することを目的とした。 防じんマスクの顔面への密着性の定量的評価には防じんマスクを着用して、そのマスクの内側及び外側における紛じん濃度の測定を行い両濃度からマスクの外側の紛じんがマスク内へ進入する割合を求める方法を用いる。しかし、使い捨て式防じんマスクのサブミクロンの粒子に対する捕集効率は比較的低いものが多い。このためマスクの内側には、ろ層を通して進入した粒子と面体と顔面とのすき間から侵入した粒子とが存在する。マスクの顔面への密着性すなわち面体と顔面とのすき間から侵入した粒子の量を知るためには、ろ層を通して進入した粒子を除いて評価しなければならない。このため紛じんの測定器にレ-ザ-光線を光源とした粒径1μm以上の粒子のみを計測するパ-ティクルカウンタ-を用い、ろ過材を通して侵入する微細な粒子は測定系から外して計測できる方法を考案した。すなわち、この装置によって、マスク内に粒子が認められればその粒子はマスクと顔面とのすき間から侵入したものと判定されるのである。なお、冬期、呼気中の水分が微細な粒子を核として擬結して、カウンタ-に計測される粒子が発生することもある。これを防ぐため加温装置を取付け、これを阻止することができた。なおマスク内の空気を取り出す方法についても検討を行なった。
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