| 研究概要 |
1測定法の開発;有機溶剤の尿中代謝産物(代謝産物)とクレアチニン濃度の同時定量法としてトルエン(馬尿酸)キシレン(メチル馬尿酸),スチレン(マンデル酸)に加えて,クロルベンゼンの代謝産物である4ークロルカテコ-ル,パラクロ-ルフェノ-ルとクレアチニンのイオン対逆相高速液体クロマトグラフ法を開発し,有機溶剤代謝産物の系統的測定法とすることが出来た.
2、尿の採集時期;(1)トルエン(馬尿酸)(2)メタキシレン(メタメチル馬尿酸)(3)トリクロルエチレン(トリクロルエタノ-ル)(4)クロルベンゼン(4クロルカテコ-ル),パラクロルフェノ-ルの各代謝産物の測定の為の採集時期に際して,暴露終了1,2,3,4時間前より暴露終了時間迄の尿について調べ,その試料中の代謝産物濃度は,1,2,3,4時間の尿の順に高く,暴露終了前の排尿時間の設定が必要であることを認めた.
3.尿中代謝産物の保存法,補正法,a)保存法(1)有機溶剤としてトルエン,キシレン使用現場において馬尿酸,メチル馬尿酸を含む作業者尿を採集し,尿を濾紙に吸収させて乾燥し,保存後の測定法に成功した.(2)バイアルビンに密栓封入した尿中トルエン,キシレン,MIBKの保存条件(室温,冷蔵,冷凍)を検討した.b)補正法:(1)運動前後尿について尿中馬尿酸濃度の比重補正及びクレアチニン補正を行ない補正後は前後尿中の馬尿酸濃度の一致することよりその妥当性を認めることが出来た.(2)トルエン取り扱い作業者について,トルエンの気中濃度と尿中馬尿酸の実測濃度及び補正濃度((1)実測値(2)比重補正値(3)クレアチニン補正値)の相関係数を算出した.そして,(1)(2)(3)の順に相関係数が低いことから補正の有効性を認めた.また尿比重とクレアチニン濃度の対数との間に直線的回帰関係を示すことを認めた.
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