カロチンの発がん予防効果に関する疫学調査を行うため、カロチンを大量に含有する海苔を日常的大量に摂食する習慣を有する、海苔養殖従事者を調査対象とした。有明地区26漁業協同組合を総括する福岡県有明海漁業協同組合連合会と頻回の摂触を重ねて調査の協力を得るとともに、全国共済水産業協同組合連合会における保険支払い記録の閲覧を行った。 保険支払い記録の閲覧により、昭和54年以降のがん罹患51人、がん死亡30人、総死亡90人を確認した。また発がんの頻度の母集団である共済全加入者のリスト(約7000人)を入手した。これらの資料をもとに、標準化死亡比の算出作業を行っている。 別途がん死亡と食生活(特にβーカロチン摂取)の関連を調べるため、カラ-写真による質問様式を完成したので、本年4月からの漁閑期に、専問の調査員による精密聞き取り調査を行う。 また所属組合員全員に対するライフスタイル調査のため、予防調査を繰り返して調査票を完成し、現在印刷も終了して漁業協同組合連合会にて保管している。繁忙期後の4〜5月にかけて全員の調査を終える。 “のり"の種付け及び収穫は10月〜3月にかけて行われる。従ってこのための準備期間を含めると、調査可能時期に大きな制約を受ける。この点が本集団における調査の最大の困難な面であった。しかしながら過去1年半の経過の中でこれらの困難性を克服できたので、最終年度は結果の集計・解析作業に取り組むこととなる。
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