研究概要 |
最終年度である平成2年度は次のように研究を行った. 1.昨年度に抗体検査を行ったY病院,およびK病院の医療従事者の内,同一個人から複数回の採血が出来た検体についてマイクロ中和法を用いて抗体力価の定量を行った. 2.得られた中和抗体価のデ-タ,および検体採取者についての職種,勤務部署,経験年数などのデ-タを集めてコンピュ-タに入力した. 3.血清中の単純ヘルペスウイルス特異的免疫グロブリンを再現性高く定量するためのELISA法に技術的改良を加え,IgGについては十分な感度と特異性を持つ方法を確立した.IgA,IgMについては非特異反応をかなりのレベルに抑えることができた. 4.3.で得られた方法を用いて医療従事者の検体の一部について免疫グロブリンの定量を行った. 5.コンピュ-タを用いてデ-タの解析を行い,以下の結果を得た. 1)医療従事者の単純ヘルペスウイルス抗体陽性率は一般住民に比べて全体としては低いが,20歳代前半の年齢層においては逆に高い傾向が認められる. 2)職種としては看護婦群の陽性率が高く,医師群は低かった. 3)看護婦群のうち,外来勤務の者は病棟勤務の者より,また,外科系に勤務する者は内科系の者より,それぞれ高い陽性率を示した. 4)抗体陽転は20歳代の群に多いが,抗体価の上昇は全年齢層にわたって認められた. 6.これらの結果から医療従事者,中でも若年の看護婦群が単純ヘルペスウイルス感染に関するリスクの高い集団であるという結論が得られた.
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