和歌山県において高率にみられる脳血管疾患、心疾患死亡を食生活との関連で解析を行うために、平成元年度に栄養調査を実施した。平成2年には食生活パタ-ンの地域差について検討するために多変量解析を行った。 〔対象と方法〕対象および調査方法は前年度に報告したとおりである。〔結果〕1.食品群間の相関:対象752世帯について食品群別摂取量の相関について検討した結果、米と正の相関を示す豆類、漬物類、海草類、魚介類は小麦類と負の相関を示した。一方、米と負の相関を示す菓子類、油脂類、乳・乳製品、加工食品は小麦類と正の相関を示した。 2.主成分分析法による食物摂取パタ-ン:全世帯を対象に主成分分析法を適用して食物摂取構造の分析を行った。第1、第2因子負荷量による二次元空間図を作成した結果、第1主成分はほとんどの食品群が正の領域にあり、特に油脂類、肉類、卵類等の食品群が大きい値を示し、第1主成分は近代的副食品を多食する因子と考えられた。第2主成分は米、漬物類、魚介類、豆類等伝統型食品群が正値で、小麦類は負に因子負荷が大きく、第2主成分は伝統型対近代型食事因子と考えられた。次に地域別に食物摂取の二次空間図を作成した結果、都市近郊では小麦類に誘導される食品群が多く、しかも近代的副食品多食型の傾向を示していた。逆に平地農村は米が中心の伝統型で副食品少食型の傾向を示していた。農山村は米に誘導される副食品多食型の傾向を示していた。漁村は米、小麦類の中間摂取で、副食品多食型の傾向が認められた。 最終年度には脳血管疾患、虚血性心疾患の市町村別標準化死亡比 (SMR)を算出するとともに、循環器疾患と食生活との関連について解析する予定である。
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