研究概要 |
和歌山県において高率にみられる脳血管疾患、心疾患死亡を食生活との関連で、解析を行うために、平成元年度に栄養調査を実施した。平成2年度には食物摂取構造の地域差を検討するために多変量解析を行い、食生活パタ-ンに地域差が認められることを報告した。最終年度では脳血管疾患、心疾患、虚血性心疾患について標準化死亡比(SMR)を算出し、食生活要因との関連について解析を行った。 〔対象と方法〕 1.栄養摂取状況調査:栄養調査の対象および方法は既に報告したとおりである。 2.SMRの算出:栄養調査の対象となった和歌山県下24市町村別に、1980年から1989年までの10年間の脳血管疾患(簡単分類番号58ー60)、心疾患(簡単分類番号46,51ー52,54ー56)、虚血性心疾患(簡単分類番号51ー52)による死亡をもとに、1985年の全国の年齢別死亡率を基準にそれぞれの疾患の標準化死亡比(SMR)を算出した。 〔結果と考察〕 1.SMRと栄養摂取量との相関:食塩摂取量と脳血管疾患SMRに正の相関が認められた。一方、ビタミンC摂取量と心疾患SMRに負の相関が認められた。 2.SMRと食品群別摂取量との相関:その他の野菜類摂取量と心疾患SMRおよび虚血性心疾患SMRに負の相関が認められた。 以上の結果ならびにこれまでの報告結果から、和歌山県において高率にみられる脳血管疾患、心疾患死亡には伝統的な食生活習慣が深く係わっていることが推察され、食生活の改善が今後の重要な課題であるといえる。
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