研究概要 |
等電点電気泳動法およびエレクトロブロッテイング法を用いて、精液および精液斑から血清蛋白型であるトランスフェリン(TF)型、GC成分(GC)型、プロペルジン因子(PI)型、アルファ2HSグリコプロテイン(AHS)型、オロソムコイド(OR)型の検出を試みた。 精液検体は山梨県立中央病院患者および健康成人男子から提供を受けた。TF型にはpH5ー7,GC型にはpH4ー6,PI型にはpH3.5ー6,AHS型にはpH4.2ー5.4,OR型にはpH4ー6.5の両性担体を含む厚さ0.5mmのポリアクリルアミドゲルを用いて、等電点電気泳動を行った。泳動終了後ゲルの蛋白をニトロセルロ-ス膜に転写し、転写後の膜にそれぞれの蛋白に対する抗血清を一次抗体として反応させた後、ペルオキシダ-ゼ標識およびアルカリフォスファタ-ゼ標識免疫グロブリンを二次抗体として用い、酵素抗体法により染色し泳動像を比較した。 精液試料におけるOR1型は血清試料と同じ泳動像を示し、いずれの転写方法、染色方法を使用した場合においても十分型判定が可能であった。200例の精液検体におけるOR1型の分布にはこれまでに報告されている日本人集団における結果とほぼ同じであった。20例の型既知の精液斑を室温に放置してOR1型の証明可能期間を調べたところ約1週間であった。OR2型については今後検討したい。 GC型においては血清試料とほぼ同じ位置にバンドが認められ、活性は低いものの型判定は可能であった。200例の精液検体におけるGC型の分布は山梨県における血清試料によるものとほぼ一致した。濾紙上に作成した精液斑からGC型の検出を試みたが、低活性のため困難であった。 TF型、PI型、AHS型においては精液試料中の蛋白が微量であり、試料の濃縮、高感度染色など種々の方法を検討したが判定は困難であった。
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