研究概要 |
鎖骨中央部の横断面組織像を観察して年令との関係を調べた。剖検時に採取した左鎖骨を資料とした。男性34例、女性13例の計47例である。年令は14才〜82才である。鎖骨中央部から約2mm厚の円板状の横断切片を切り出し、耐水ペ-パ-、研摩剤で約50μの厚さまで研摩した。観察は光学顕微鏡(明視野,位相差)で行なった。一横断面当り上下左右の4ケ所の観察を行ない、同時に写真撮影も行なった。13cm×18cmの印画紙にプリントした際の培率は約80倍であり、この領域は実資料上では約1.6mm×2.2mmに相当する。計測項目は1プリント領域当りのオステオンの数、オステオンの平均面積、ハ-バ-ス管の平均面積である。 今回の資料の中で最も年少である14才女性の横断組織像は、オステオンは認められるものの数は少なく骨吸収の痕跡が認められない介在層が大きな領域を占めている。30才になると、吸収再構築が進みほとんどの領域がオステオンと前世代のオステオンの残骸で占められるようになる。50才を過ぎると骨髄腔が大きくなって、緻密骨の幅が小さくなる。 オステオンの数と年令との相関係数は0.65であり、年令と共にオステオンの数は増加する傾向が認められる。オステオンの平均面積と年令の相関係数は-0.14であり、有意な関係とは言えない。ハ-バ-ス管の平均面積と年令との相関係数は0.23であり、年令と共に増加する傾向が見られるものの有意な関係とは言えない。オステオンの数を従属変数として、年令を推定する回帰式を作成すると次式のようになり、推定値と実年令との差の平均は11.1才であった。 年令=1.8×オステオンの数-17.2
|