実験対照動物をモルモットに変更して、その損傷皮膚中のC3a、C3aーdesArgの検出と損傷の生活反応への応用性について検討した。Anti C3a/C3aーdesArg antibodyを作るため、guinea pigC3a(70ー77)octapeptideを合成してBSAとの複合体を抗原として免疫をした。モノクロ-ナル抗体を作ることができなかったので、ウサギに免疫をしてできた抗体を用いて、Immunoblotting法で損傷局所のC3a/C3aーdesArgを観察した。C3aの検出に際して、初年度においてもImmunoblotting法を適用していたが、損傷組織の抽出液ではC3 fragmentの検出ができなかった。それは、損傷局所に遊離するC3aは微量であり、その抽出条件或はブロッティング条件には限界があるのではないかと考えた。そこで今年度は、それらの条件を再検討し、抽出操作は少量の1N塩酸で組織をホモジェネイトし、上清を凍結乾燥濃縮をした。また、transfer membraneには、従来のPVDFより蛋白結合能力が高いと言われるBioーRad社のPVDFを用いた。これらの改良により損傷組織中のC3a/C3aーdesArgを検出することに成功した。この方法により、モルモットの生前損傷皮膚(切創、火傷:10分、24時間)と死後損傷の比較を行った。切創では、10分、24時間、火傷では、24時間の生前損傷でC3a/C3aーdesArgが検出され、一方、切創、火傷共に死後損傷ではC3のfragmentationは観察されなかった。本研究の結果より、C3a/C3aーdesArgは、損傷の生活反応判定のための新しい指標となり得ることを示唆するものである。
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