研究概要 |
アナフィラキシ-に関与するchemical mediatorのひとつであるヒスタミンを免疫学的手法で検出、定量する手技を確立できた。すなわちヒスタミン塩酸塩とウシ血清アルブミン(BSA)をカルボジイミド法でアミド結合させ、分子量の大きいcomplexを作製した。これを超高比重ラテックス(武田薬品製、粒径0.9μm,比重1.45)に吸着させindicator latexとした。抗ヒスタミンはChemicon社製免疫ウサギ血清を16,000倍に希釈して用いた。マイクロタイタ-プレ-ト上で抗血清25μlとヒスタミン標品または試料25μlを混合し、吸収後、ヒスタミン-BSAラテックスを加えて未反応の抗ヒスタミンにより凝集させた。ラテックス粒子は0.5%BSA含有グリシン緩衝液(PH8.2)で2回洗條後、さらに20,000倍希釈抗ウサギIgGヤギ血清25μlを加えて反応させ、凝集阻止の程度を既報(J.I mmunoassay 9,1-18,1988)の面積測定装置で測定した。ヒスタミン標品の測定範囲は0.1ng1ml〜1μg1mlであり、感度は吸収時間によって異なるが、2時間以上反応させた時は0.1ng1ml程度であった。測定誤差はC.V.で0.43〜8.8%であった。L-ヒスチジン、ノルエピネフィリンとの交差反応は全く示さなかった。 この方法によって、ヒトIgGで免疫した後、ヒトIgGの注射でアナフィラキシ-を生じさせたウサギ血液中の遊離ヒスタミンを測定することができた。 私たちの測定方法は免疫学的反応を利用する点はRIAなどと同じであるが、より簡便で、高感度な上、短時間(4〜6時間)内で測定可能である。またヒスタミン-BSAラテックスは長期間その被凝集性を保持できるので、測定毎の試薬の調製が不要で、数値のバラツキが少ないなどの利点もあることがわかった。
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