研究概要 |
1)ヒスタミンの免疫学的定量法。 ラテックス凝集阻止反応を定量的に測定したところ,感度は0.1ng/ml(約1mM),誤差はC.V.で0.43〜8.8%(withinーassay,n=4)であった。この方法によって,ヒトIgGで予め免疫したウサギ抗体の力価が4管(力価で16倍)上昇した時,少量の抗原刺激によるヒスタミン遊離を血清がら検出できた。またウサギにCompound48/80の静注によってアナフィラキシ-を惹起させ,血中に遊離したヒスタミン量を測定し,RIAの相関を求めたところ,相関係数r=0.92(n=26)の良い一致が得られた。 本法による測定は5〜6時間以内に終了し,検体の前処理などを必要としない簡便な方法である。またbetweenーassayの誤差は9.2%で(RIAは23%)再現性の良い,信頼度の高い方法であることがわかった。 2)ダニ・アレルゲンに対するアレルギ-抗体の検出。 新しく開発された超高比重ラテックスにコナヒョウとダニ抽出液を吸着させた試薬と被検血清をプラスチック凝集板上で30分間回転振盪させる方法で,アレルギ-抗体を高率に検出できた。またこの凝集反応をSEM Sー900型電子顕微鏡で観察したところ,アナフィラキシ-に関与する抗体であるIgE抗体の反応様式はIgA,IgG抗体とは著明な差があることがわかった。抗体価,抗体の強さ,抗体のイムノグロブリンクラスなどの差は,単にアレルゲンと血清の反応を観察しただげでは差がなく,アレルゲン吸着ラテックスの凝集反応によって明らかにすることができた。
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