研究概要 |
1)簡便で迅速にできるアナフィラキシ-関連物質の免疫測定を確立することが本研究の目的であったが,その一つであり,主たる原因物質のヒスタミンの定量は「ラテックス凝集阻止試験成積の面積測定によるヒスタミンの定量」によって達成され,血中ヒスタミンを0.1ng/mlー1μg/mlまでの範囲で定量できた.私たちの方法は試料の前処理の必要がなく,微弱な抗体でもそのまま免疫測定に使用可能であるなどの利点があった.この方法によるとアナフィラキシ-・ショックのように多量のヒスタミンが遊離される検体だけでなく,僅かな抗原刺激によって血中に生じた少量のヒスタミンも測定でき,法医学的物体検査のみでなく,臨床的な検査にも応用可能であると思われる. 2)アナフィラキシ-やアレルギ-に関与するIgE抗体の新しい検査法として,高比重ラテックスを用いた“Continuously rotation passive agglutination method"を開発した.これによって,従来用いられているRAST法により高感度にアレルギ-抗体を検出できた. 3)アレルゲン吸着ラテックス粒子とこれに対するIgE抗体との凝集反応を電顕で観察したところ,IgEに特有と思われる反応が認められた.これらの知見はアレルギ-抗体の解析に有用であり,その応用が期待できると思う。 4)ヒト血清中のtotal IgEを,新しい分光学的方法である「光熱偏向分光法」で測定した.ニトロセルロ-ス膜上に血清検体をプロットし,抗ヒトIgEウサギIgGを反応させ,さらに金コロイド標識抗ウサギIgGを反応させ,紅色に染まったスポットを測定したところ,0.076IU/mlから760IU/mlまで定量できた.これは正常値からIgEが極めて高いアレルギ-患者血清まで広範囲の測定ができることを示している.
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