研究概要 |
われわれは、既に補体の持続的な活性化の原因となる2つのnephritic factor(NeFA:C3bBbに対するIgG自己抗体,NeFC:C4b2aに対するIgG自己抗体)の新しい測定法を開発し、MPGNI型患者の血中でNeFCが,MPGNII型でNeFAが高率に検出されることを見出している。本研究では、これらNeFC,NeFAに対する抗イディオタイプ抗体を作成して、MPGNにおけるこれらの関与を詳細に検討することを目的とした。抗イディオタイプ抗体は、NeFA,NeFC陽性患者血清より各々を精製し、マウスおよび家兎に免疫して作成を試みた。NeFA,NeFCは、各々の患者より、DEAEクロマトグラフィ-,HPLCを用いてIgGを分離し、EAC3bBb,EAC14b2aによるアフィニティ-クロマトグラフィ-で精製し、ペプシン処理にてF(ab')_2として免疫原とした。得られた抗ヒトIgG抗体(マウスモノクロ-ナル,家兎ポリクロ-ナル)を正常ヒトIgGで吸収することにより、各々のNeFに特異的な抗イディオタイプ抗体の分離,精製を試みているが、今のところ,充分な活性を持つ、抗イディオタイプ抗体は得られていない。これは現在も精力的に実行しており、本年度中に完成の予定である。これらを、用いることができれば、MPGNI型、II型におけるNeFA,NeFCの腎への沈着の頻度や態度を知ることが可能となり、また、血清をHPLCにて分画して、血中における存在様式を知ることが出来る。
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