研究代表者は、C1q固相法によってSLE血清中に検出されるC1q結合性物質が免疫複合体ではなくC1qコラ-ゲン部に対する自己抗体であることをこれまで明らかにしてきた。この自己抗体のSLEにおける病因的意義を明らかにすべく、平成元年度において、この自己抗体のIgGサブクラス分布を検討し、抗C1qコラ-ゲン部自己抗体のIgGサブクラスが正常ヒトIgGのサブクラスと一致することを示して、IEFの結果と合せて、この自己抗体がpolyclonalな自己抗体であることを示唆した。 今年度は、まずDNAとC1qとの結合様式を詳細に検討した。DNAがC1qと結合することは以前より知られており、SLE血清中の小分子量DNA/抗DNA免疫複合体がDNAを介してC1qと結合する可能性がある。このため、抗C1qコラ-ゲン部自己抗体の解析をさらに進めるには、抗C1qコラ-ゲン部自己抗体とDNAのC1q結合活性を比較検討することによって抗C1qコラ-ゲン部自己抗体をDNA/抗DNA免疫複合体から厳密に識別することが不可欠である。これまでDNAは球状部を介してC1qに結合するとされていたが、今回の研究で一本鎖DNA、二本鎖DNAとも生理的イオン強度下ではコラ-ゲン部にのみ結合するという新たな所見を得た。しかし、抗C1qコラ-ゲン部自己抗体のC1qコラ-ゲン部との結合がイオン強度非依存性であるのに対してDNAのそれはイオン強度依存性である点、および抗C1qコラ-ゲン部自己抗体が固相でのみ結合するのに対してDNAは固相・液相の両相でC1qコラ-ゲン部と結合する点において抗C1qコラ-ゲン部自己抗体とDNAは異なっていた。 抗C1qコラ-ゲン部自己抗体にはprivate idiotypeが多いと思われ、抗イディオタイプ抗体の作製は因難が予想されたが、現在、研究実施計画に基づいて、抗C1qコラ-ゲン部自己抗体に対する抗イディオタイプ抗体の作製を試みている。
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