研究概要 |
申請者らは近年関節リウマチ患者に続発したアミロイド-シス組織を出発材料としていくつかのモノクロ-ナル抗体(MoAb)の作製に成功したが、この中でHoAb AM34(IgG1)が,従来のAA蛋白とは明確に異なる蛋白を認識していることを見い出した。さらに興味あることに本抗体はSDAT脳の老人班およびアミロイド血管にも反応することが判明した(Brain,Res.,474:309,1988)。本研究においては、この新しい蛋白の免疫学的・化学的同定を行うとともに,それをコ-ドする遺伝子をクロ-ニングすることを主たる目的とし,さらに,本抗体および精製抗原を用いてアミロイド-シス患者ならびにSDAT患者の診断に資するための研究を行なった。すなわち, 1.アミロイド-シス患者の肝組織からmRNAを取出し,cDNAを合成し,発現ベクタ-を用いて大腸菌に組込み,産生蛋白を発現させた。次にMoAb AM34(IgG1)を用いてスクリ-ニングし,AM34抗原蛋白部分をコ-ドするcDNAをクロ-ニングし,全塩基配列からアミノ酸配列を決定した。 2.作製されたcDNAプロ-ブを用いてin situ hybridization法により局在を検索し,同時にノ-ザンあるいはサザンブロット法によりRNAあるいはDNAレベルでの変化を解析した。その結果,慢性関節リウマチ患者のアミロイド沈着組織にmRNAの局在が認められた。今後,MoAb AM34をビオチン化して,サンドイッチELISA法を設定,組織抽出液中のAM34抗原濃度を測定するとともに,SDAT髄液中あるいは血清中の抗原濃度を測定し,診断応用への可能性を検討したい。
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