研究概要 |
1.従来、GVHにおける抗体産生細胞の活性化は自己抗体産生B細胞に限られ選択的であるとされていたが、自己抗原および外来抗原に特異的な抗体産生細胞数を経時的にELISPOT法で検討した結果、いずれの抗原に対する抗体産生細胞も同頻度で活性化されていることが明らかとなりGVHにおける抗体産生細胞活性化は非選択的な多クロ-ン性活性化に基づくことが示された。(青木他:第19回日本免疫学会総会.1989.11月.札幌)。 2.DBA/2細胞をBDF1に移入して誘導するGVHで生じる腎病変の形成過程を蛍光抗体法および電顕的にて観察した。その結果、糸球体基底膜沈着物にはIgGのメサンギウム沈着物にはIgMの関与が示唆された。また、腎病変の主体はメサンギウム沈着物形成により引き起こされることが示された(大谷他:日本臨床電子顕微鏡学会.1989年.9月.神戸)。 3.様々な組み合わせ(BDF1←DBA/2,BDF1←B6,CAF1←BALB/c,CAF1←A/J)でGVHを作成し各種血清抗体価と各実験群間の腎病変の程度を比較検討した。また、BDF←DBA/2においても各個体間の血清抗体価と腎病変の程度を検討した。各種抗体間で有意の差はなく、IgG抗体価の高い群ほど腎病変はつよく腎病変の発症には抗体のIgG←IgMクラススイッチが重要であることが示唆された。 4.BDF1←DBA/2で誘導したGVHでmyc,raf,myb遺伝子の発現を検討したところ、B細胞の活性化に一致してmyc,raf遺伝子の発現が増強していた。現在、細胞回転との相関を検討中である。
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