研究概要 |
(1)DBA/2細胞をBDF_1に移入して誘導するGVH(BDF_1←DBA/2 GVH)で生じる腎病変の形成過程を蛍光抗体法および電顕的にて観察し、糸球体基底膜沈着物にはIgGのメサンギウム沈着物にはIgMの関与が示唆されることをわれわれはあきらかにしてきた。今年度、われわれは、さらに研究をすすめ免疫電顕手法を用い電子顕微鏡レベルで IgGは主として際底膜にIgMは主としてメザンギウムに沈着することを確認した。 (2)また、糸球体病変の電顕的観察をさらにすすめ、メザンギウムの一次的変化がmesangiolysisであることをあきらかにした。 (3)BDF_1←DBA/2 GVHにおける肺では肺胞壁間質に細胞浸潤がみられること、BALF(Bronchioーalveolar lavage fluid)の検討では炎症の指標となるACE(angiotensin converting enzyme)活性の上昇がみられると同時にリンパ球の比率が増加することがあきらかになった。従って、このGVHによる肺病変は間質性肺炎のモデルとなりうることが示唆された。 (4)BDR_1←DBA/2で誘導したGVHでmyc,raf,myb遺伝子の発現を検討したところ、B細胞の活性化に一致してmyc,raf遺伝子の発現が増強していたことを昨年度われわれはあきらかにした。さらに、これら遺伝子の発現と細胞回転との相関を検討したところG2+M期細胞の消長とよく一致し、B細胞の増殖へのこれら遺伝子の関与がin vivoで示唆された。
|