研究課題/領域番号 |
01570366
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
浅野 泰 自治医科大学, 医学部, 教授 (00050500)
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研究分担者 |
本間 寿美子 自治医科大学, 医学部, 助手 (70209336)
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 助手 (40190855)
田部井 薫 自治医科大学, 医学部, 講師 (90155234)
草野 英二 自治医科大学, 医学部, 講師 (50102249)
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キーワード | 虚血性急性腎不全 / 細胞内pH / 細胞内カルシウム |
研究概要 |
1.ラット乳頭部集合管細胞をカバ-グラス上に単層に培養し、その培養液中に細管より95%N_2+5%CO_2の混合ガスを送り込み無酸素状態とした。この状態で細胞内pHはBCECF-AM、細胞内Ca^<2+>はFura-2を用いて2波長励起法にて60分間経時的に測定を行ったが、細胞内pH、Ca^<2+>に変化はなかった。 2.次に5mM NaCl+5mM 2-Deoxy-D-glucoseを用いて細胞内のATPを減少させ上記と同様に測定を行った。細胞内pHは薬剤投与直後より低下し5分以内に底値となった。細胞内Ca^<2+>はほぼ同時に上昇しやはり5分以内に頂値となり以後薬剤を除去するまで高値が持続した。このNaClによる細胞内pHの減少は2mMのEGTAにて抑制され、Ca^<2+>チャンネルブロッカ-であるベラパミル(10-4-10-6M)投与にても同様の効果が認められた。また2mM EGTA、ベラパミル(10-6M)はNaClによる細胞内Ca^<2+>の上昇を50〜70%抑制した。これまで虚血状態における細胞傷害に細胞内Ca^<2+>の関与が示唆されていたが、上記の結果より虚血常置においてCa^<2+>が細胞内pHにも影響する事が考えられる。今後この相互関係のメカニズム-特にCa^<2+>/H^+交換輸送やミトコンドリア内のCa^<2+>の役割-を明らかにしていく予定である。 3.さらに樹立細胞株であるLLC-PK1を用いての虚血状態の実験も進めている。この細胞は近位尿細管を含み、ラット乳頭部集合管細胞より虚血に対して傷害されやすいと考えられ、事実LLC-PK1の細胞浮遊液に95%N_2+5%CO_2のガスを送ると細胞内Ca^<2+>は速やかに上昇した。今後このモデルを用いて虚血による細胞傷害に対する各種薬剤の防御効果に関して検討を進める予定である。
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