目的:ウイルス感染は、結合織疾患(以下CTD)の病因として関与する可能性がある。新たにAIDS患者より分離され、その後、突発性発疹の病因ウイルスは判明し、主としてT細胞に感染するヒトヘルペスウイルス-6(以下HHV-6)と、CTDとの関連性を検討した。 方法:対象はCTD31例で血清は経時的に採取し、健常人10例を対照とした。血清抗HHV-6抗体価は間接蛍光抗体法・中和反応にてFG-1株を用いて測定した。多クロ-ン性B細胞活性化については、本抗体価と種々の自己抗体価・血清IgG濃度、および他のヘルペス群ウイルス抗体価との比較により検討した。対応抗原の解析にはWestern blot法を用いた。 結果:(1)CTD患者において、本抗体価は、健常人に比し有意に高値であった。(2)自己抗体の一つの抗n-RNP抗体価と本抗体価とは有意な相関を認めた。しかし、抗SS-A抗価・抗DNA抗体価および血清IgG濃度とは相関はなかった。(3)他のヘルペス群ウイルス抗体価は、健常人に比し必ずしも高値ではなかった。(4)本抗体陽性血清は10^<-2>〜10^<-4>希釈にてもWestern blot法でHHV-6特異ペプチドを染色した。 考察及び結論:(1)CTD患者における本抗体価は健常人に比し有意に高値であった。(2)本抗体価と抗n-RNP抗体価およびその推移には有意な相関と認め、HHV-6感染によるn-RNP抗原の修飾、あるいは、HHV-6とn-RNP抗原との共通抗原性の可能性が考えられた。(3)他の自己抗体価・血清IgG濃度と本抗体価には有意な相関を認めず、また、他のウイルス抗体価が、健常人に比し常に高値とは限らなかったことより本抗体価の推移は、CTDにみられる多クロ-ン性B細胞活性化現象の反映のみとは考えにくかった。(4)Western blot法による本抗体の検索は有用であると考えられた。また、臍帯血単核細胞との混合培養およびPCR法により、血液・皮膚等からのウイルスおよびウイルスDNAの検出を試みている。
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