研究概要 |
目的:昨年度の検討で(1)結合織疾患(以下CTD)患者において抗ヒトヘルペスウイルスー6(以下HHVー6)抗体価が健常人に比し高値であること、(2)その抗体価の上昇は多クロ-ン性B細胞活性化現象だけでは説明し難いことが明らかとなり、CTDとHHVー6感染との関連が示唆された。今年度は、抗HHVー6抗体の対応抗原の分析、CTD患者の血清・末梢血単核球・唾液・皮膚からのウイルス及びウイルスDNAの検出を目的とした。 方法:対応抗原の分析はWestern blot法を用い、CTD患者からのウイルス及びウイルスDNAの検出には培養法・PCR法を用いた。 結果:(1)HHVー6特異抗原ペプチドは、107K,94K,68K,37K,24K,20K,16Kであった。(2)CTD患者においても抗HHVー6抗体陽性血清はWestern blot法でHHVー6特異抗原ペプチドを染色した。(3)CTDの中でも疾患により特異抗原ペプチドの染色バンドに差のある傾向を認めた。(4)CTD患者17例の末梢血単核球・血清,12例の唾液、3例の皮膚ホモジネ-トからウイルスの分離を試みたがいずれも陰性であった。(5)同様の材料を用いCTD患者数例よりウイルスDNAの検出を試みたがいずれも陰性であった。 考察及び結論:(1)Western blot法による抗HHVー6抗体の検索は有用であると考えられた。また、107Kの染色バンドは近傍に他の染色バンドを認めず、測定した全ての抗HHVー6抗体陽性血清において認められた。したがって、107K抗原はHHVー6感染に特異性の高い抗原であると考えられた。(2)疾患によりHHVー6特異抗原の染色バンドの出現頻度に差のある傾向を認め、疾患により抗HHVー6抗体の認識するHHVー6特異抗原が異なる可能性、抗HHVー6抗体の認識する特異抗原の違いにより発症する疾患が異なる可能性が考えられた。(3)CTD患者からウイルス及びウイルスDNAは分離されなかったが、検体の採取時期・症例数に問題があったと考えられるため今後も検討が必要である。
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