研究概要 |
米国で開発した肝内胆管細胞単離法を用いて、胆管細胞培養系を確立する事が本年度計画であった。1.胆管細胞単離のための肝潅流操置の設計・購入に約2ヶ月,55万円(当初予定39万円)を要した。本潅流操置を用いた場合、単離肝細胞・胆管細胞は95%以上生存しており満足ゆく結果を得た。2.以後胆管細胞の分離・培養に入り、残りの補助金を試薬・バツファ-に使った。培養を確立させるには、(1)7日間細菌の混入無しに培養を継持できること、(2)胆管細胞の純度が十分に高いこと、が必要である。(1)についての検討:counterflow elutriatorを使うと細菌混入が避けられなかった為、Percoll分離のみを行なった。また、肝潅流法の一部を変更し、7日間の無菌的培養が可能となった。(2)についての検討:counterflow elutriationを省くことにより、胆管細胞の純度は40%に但下した。混入した他の細胞と共に胆管細胞は7日間生存した。従って本培養系は、胆管細胞の機能を検討する系として未だ不適切であるが、細胞傷害を検討する系としては使えるかも知れない。一方、米国肝臓病学会(1989年)で胆管腔をコラ-ゲナ-ゼで潅流し遊離した細胞を培養する方法が報告された。約3ヶ月間本法を追試したが、回収細胞数が低く、肝細胞・赤血球の混入も多く、現時点では採用すべき方法ではないと判断した。 以上の如く胆管細胞培養法は未だ確立されていないため、平成2年度も同培養法の確立を目指す。胆管細胞の純度を上げるための残された方法は、正常胆管細胞に対するモノクロ-ナル抗体を使ったImmunogffinity法である。N.F.LaRusso(Mayo Clinic)は同抗体を作製中であり、未だクロ-ニングは終っていないが培養土清に抗胆管細胞抗体活性を認めており、平成元年度の研究計画調書通り、この培養土清の供与を受け、胆管細胞の純度を上げる試みをする。
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