研究課題/領域番号 |
01570382
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朝倉 均 新潟大学, 医学部, 教授 (20051451)
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研究分担者 |
成澤 林太郎 新潟大学, 医学部付属病院, 助手 (30180540)
野本 実 新潟大学, 医学部, 助手 (20172827)
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 活性化T細胞 / HLA-DR抗原 / 蛍光抗体二重染色法 / 可溶性インタ-ロイキン2レセプタ- / Leu3a陽性細胞 |
研究概要 |
潰瘍性大腸炎(UC)の大腸粘膜局所における活性化T細胞と上皮細胞のHLA-DR抗原発現との関連を見る目的で、大腸生検組織の蛍光抗体二重染色法を行った。対象は健常人8例、活動期のUC23例で、治療別ではステロイド剤またはサラゾピリンによる治療群15例、未治療群8例である。活性化T細胞は膜表面にDR抗原を発現することから、その染色はFITC標識の抗Leu2a抗体及び抗Leu3a抗体と、PE標識の抗HLA-DR抗体を用い、大腸生検組織に対する蛍光抗体二重染色法で行った。各標本から無作為に3視野を選び、粘膜固有層の面積は画像解析装置を用いて1mm^3当たりの陽性細胞数を算定した。 UCでは粘膜固有層単位面積当たりのLeu2a及びLeu3a陽性細胞数は増加し、DR陽性のLeu3a陽性細胞も増加していた。粘膜上皮のDR抗原は全体の54%の症例で陽性に認め、内視鏡所見の高度の例ではより高率であった。上皮DR抗原陰性群では陽性群に比し、Leu3a陽性細胞の活性化率が増加していた。Leu3a陽性細胞の活性化率と発症からの経過年数の相関を見ると、UC全体では関連がなく、治療群に限ると負の相関を認めた。また生検組織採取時の患者の状態を臨床症状の憎悪期、不変期、改善期に分類すると、上皮のDR抗原が陰性にもかかわらずLeu3a陽性細胞の活性化率の高い症例は、憎悪期に採取されたものが多かった。さらに活性化T細胞のマ-カ-とされている血清中の可溶性インタ-ロイキン2レセプタ-(slL-2R)をELISA法にて測定し、活性化T細胞との関連を検討すると、Leu3a陽性細胞の活性化率との間に正の相関がみられた。 以上より、活性期UCはLeu3a陽性細胞を主とするT細胞の活性化された状態にあり、腸上皮のDR抗原発現と活性化T細胞の間には密接な関連のある可能性が推測され、このことより大腸粘膜上皮の傷害化が進むと思われる。
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