研究課題/領域番号 |
01570385
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
赤羽 賢浩 山梨医科大学, 附属病院・第一内科, 講師 (60092855)
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研究分担者 |
宮崎 吉規 山梨医科大学, 医学部・第一内科, 助手 (80166157)
相野田 隆雄 山梨医科大学, 医学部・第一内科, 助手 (50167772)
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キーワード | preS-1抗原 / preS-2抗原 / HBic抗原 / IgA型抗原 / 劇症肝炎 |
研究概要 |
B型肝炎ウイルは直径42nmの球型粒子で、core粒子と外殻部分から構成される。外殻部分にはpreS-1、preS-2、S抗原が存在し、core粒子構成ペプチドにはHBc抗原、HBe抗原、HBic抗原が存在する。HBキャリア43例の肝組織について、各種モノクロ-ナル抗体を用いて上記の抗原の組織局在を検討し、病態との関連を考察した。その結果、肝組織内のpreS-1抗原、preS-2抗原はS抗原と一致して染色されること、HBc抗原、HBe抗原、HBic抗原も一致して検出され、それらの症例ではS関連抗原の陽性率が高いこと、HBe抗原陽性例、GPT高値例、CAHではD関連抗原、c関連抗原の染色率が有意に高率であることが明かなった。この事実はHBVの遺伝子産物の発現が系統的に行われていることを示しており、HBVの増殖の盛んな宿主では、一たんこれらの抗原に対する免疫応答が始まれば、強い組織障害が生ずる可能性を孕むものと考えられた。 次に宿主の免疫応答の一部を解明する目的で、B型劇症肝炎患者のpreS-1、preS-2抗原に対する液性抗体に関して他施設との共同研究を行った。11例のB型劇症肝炎患者はIgM型、IgA型のpreS-1抗体、preS-2抗体の高力価を示し、特にIgA型のpreS-1抗体、preS-2抗体は非劇症化例に比し有意な高値であった。したもIgA型抗体はポリマ-型が主体であり,劇症肝炎では液性抗体反応の亢進状態にあるものと考えられた。IgA抗体が特に高値を示す理由に関しては不明な点が多いが、肝胆道系を介したIgAの代謝の障害が一部関連しているものと推測される。
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