研究課題/領域番号 |
01570385
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
赤羽 賢浩 山梨医科大学, 医学部, 講師 (60092855)
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研究分担者 |
宮崎 吉規 山梨医科大学, 医学部, 助手 (80166157)
相野田 隆雄 山梨医科大学, 医学部, 助手 (50167772)
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キーワード | B型肝炎 / HBe抗体陽性活動性肝炎 / HBV DNA / preーC領域 / HBe抗原 / stop Codon / HBV変異株 / 点変異 |
研究概要 |
Dane粒子に関連した研究は最近HBVのpreーC領域に集中しており、本研究者らもpreーC領域の発現に焦点をあてた臨床的研究を行った。 一般にB型肝炎では、HBe抗原陽性期にはHBVの増殖が盛んで、肝病変の活動性も強いが、HBe抗原のseroconversionとともに、ウイルス増殖、肝病変の活動性は鎮静化し、HBe抗体の出現とともに肝病変は非活動化することが知られている。しかし少数例ではあるが、HBe抗体陽性でありながら活発なウイルス増殖を示し、極めて活動的な肝病変を示す一群のB型慢性肝炎が経験される。本研究者らはHBe抗体陽性でありながら、HBe抗原陽性例に匹敵するHBVウイルス量を示すB型慢性活動肝炎の3例を選別し、Dane粒子を回収し、preーC領域を含むDNA断片を調整した上で、preーC領域の塩基配列を決定した。その結果、3症例より合計10クロ-ンを得たが、それらのクロ-ンでは共通してpreーC領域の83番目の塩基が“A"となっており、HBV野生株の“G"から点変異が起っていることが確認された。そのためpreーC領域の28番目のアミノ酸はstop codonとなり、HBe抗原の合成、分泌が阻害されるものと考えられた。すなわち、HBe抗体陽性でありながら、活発なウイルス増殖を示し、活動的な肝病変を示すB型肝炎では、preーC領域に変異があり、HBe抗原を分泌できないHBV変異株が活発な増殖をしていることが判明した。この事実は各種の発現実験やHepadnaウイルスを用いた感染実験からも合理的であること考えらるが、何故一部のHBe抗体陽性例のみに活発なウイルス増殖がみられ、しかも極めて活動的な肝病変がみられるのか今後の課題である。
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