A.モルモット胃主細胞におけるエタノ-ルの作用ーエタノ-ルは胃主細胞障害をおこさない濃度範囲(300ー900mH)で主細胞からのペプシノ-ゲン放出反応を刺激しました。主細胞にFuraー2を負荷したのち、Fura2Ca^<2+>複合体の螢光を指標とした主細胞内Ca^<2+>濃度の変化を観察すると、cholecystokinin(CCK)刺激の場合とは異なりエタノ-ル300ー900mMは主細胞内Ca^<2+>濃度をなだらかに増加させました。エタノ-ル刺激主細胞内Ca^<2+>濃度の増加は細胞外液中のEGTAや、Ca^<2+>チャネル阻害剤のLa^<3+>により抑制されることから、CCK刺激主細胞内Ca^<2+>移動とはその由来が異なっていました。エタノ-ルは又^<45>Ca^<2+>で測定される主細胞内への初期Ca^<2+>流入率をCCKに比し著明に増加させました。エタノ-ルによって刺激される初期Ca^<2+>流入率の増加はLa^<3+>によって抑制されるが、ニフェジピンやベラパミルによっては抑制されませんでした。ヌエタノ-ル刺激ペプシノ-ゲン放出作用もLa^<3+>によって完全に抑制されましたが、ニフェジピンやベラパミルによっては抑制されませんでした。 従ってエタノ-ルはLa^<3+>によって調節されるCa^<2+>チャネルを介して主細胞内へのCa^<2+>流入を刺激し、ペプシノ-ゲン放出を刺激するものと思われました。 B.モルモット胃主細胞イノシト-ルリン脂質動態の解析ーエタノ-ルによる主細胞内へのCa^<2+>流入刺激作用がイノシト-ルリン脂質の代謝産物によって調節されているか否かを検討しました。〔^3H〕イノシト-ル標識主細胞においてCCKはイノシト-ルリン酸の集積を刺激しましたが、エタノ-ルには刺激効果はありませんでした。従ってエタノ-ルによるCa^<2+>流入刺激作用はイノシト-ルリン酸の集積を介するものではないことが示唆されました。
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