研究課題/領域番号 |
01570400
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
沖田 極 山口大学, 医学部, 教授 (70107738)
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研究分担者 |
安永 満 山口大学, 医学部附属病院, 助手
小西 知巳 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (30195755)
福本 陽平 山口大学, 医学部, 講師 (90136193)
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キーワード | 肝再生 / 上皮細胞増殖因子(EGF) / 肝再生調節因子 |
研究概要 |
肝再生調節因子の研究は、広範肝細胞壊死の結果患者を死に至らしめる劇症肝炎に対する新しい治療法の開発や肝癌細胞の増殖機転を検討する上で大変重要である。本年度は特に肝再生促進における増殖因子の役割について研究を行ったので、その概要について報告する。 本申請者は既にグルカゴン、インスリン、上皮細胞増殖因子(EGF)の併用がラット劇症肝炎モデル肝や初代培養肝細胞において著しいDNA合成を誘導することを明らかにした。そこで、投与されたEGFがどのように肝細胞に取り込まれるか、またどのような投与経路がより有効な肝再生を誘導するか検討したところ、以下の結論を得た。:(1)ラット急性肝障害モデルにおいて、EGFは強力な肝再生因子として作用し、合目的に障害肝の修復に作用した。(2)肝障害時における肝細胞膜EGF受容体数の低下した状態においても、結合の親和性は不変であり、投与されたEGFは肝組織内に取り込まれる。(3)EGFの投与方法については経内脈的投与が、腹腔内投与、経静脈的投与に比べ肝再生促進効果の面で良かった。 次に臨床的には劇症肝炎よりさらに予後の悪い「慢性肝障害経過中における肝障害の重篤化」(AOC)についても、肝再生調節因子の面から検討を試みたが、AOCモデルにおいては肝細胞膜EGF受容体の数は急性肝不全モデルのそれに比べても著しく低下しており、そのためEGFの細胞内取り込みが著しく障害されていることが明らかとなり、AOCという病態は肝再生で全状態と結論した。
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