「方法」HBc抗原エピト-プとして親水性ペプタイド、A(p85-100)、B(p101-120)、C(p74-89)、D(p121-140)の4つを合成した。これらのペプタイドと、阪大微研で作成された組換え型HBc抗原を抗原として使用した。B型慢性活動性肝炎28例の末梢血より単核球を採取し、これら抗原と1週間培養し^3H-サイミジン取り込み率により幼若化反応を、培養上清中の可溶型IL2レセプタ-(sIL2R)産生量をELISA法により測定した。B型慢性肝炎8例の末梢血単核球からモノクロ-ナル抗体OKT4によりCD4陽性細胞を除くことによりCD8陽性リンパ球を得て、同様の実験を行なった。 「成績」組換え型HBc抗原に対する幼若化反応では、HBc抗原陽性のCHで15例中10例(67%)、HBc抗体陽性者で13例中3例(23%)が陽性であった。sIL2R産生量では、それぞれ15例中11例(73%)、13例中2例(15%)であった。合成ペプタイドA、B、C、Dに対する幼若化反応はそれぞれ、53、48、35、68%が陽性であった。sIL2Rの産生が増加した症例は、それぞれ、47、38、26、56%であった。合成ペプタイドに対して陽性反応を示した症例はすべて組換え型HBc抗原に対しても陽性であった。合成ペプタイドの間では症例によりさまざまで一定の傾向を示さなかった。CD8陽性リンパ球での実験では、組換え型HBc抗原に対する幼若化反応、sIL2R産生増加はそれぞれ8例中2例、1例で陽性であったが、合成ペプタイドに対してはすべて陰性であった。以上から、B型慢性肝炎のT細胞が認識するHBc抗原エピト-プは症例または経過により変化することが明らかになった。
|