研究概要 |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)の成因にはヒト胆管上皮に対するTーcell auto immunityが重要である事を症例数を増して確認した。1)PBCの脾細胞は自己胆管上皮細胞に対して細胞障害活性を示す。細胞障害活性はTリンパ球に見い出され,non Tリンパ球には認められない。CTLのphenotypeはCO8陽性である。CTL活性はauti MHC class Iモノクロ-ナル抗体で阻害される。2)PBCの未梢血単核球は胆汁中より精製したヒト胆管上皮抗原(B1)に対してproliferation assayが陽性である。芽球化反応はT cell分画に存在する。B1抗原に対するT cell proliferationはPBCに疾患特異性であり,他の肝内性,あるいは肝外性胆汁うっ滞症,自己免疫性肝炎,ウイルス性肝炎では検出されない。B1抗原は家免抗ヒト胆管上皮抗原抗体をプロ-ベに用いた,Western blottingにて分子量〉200K.D.であり,シアル酸染色陽性,脂肪染色陰性である。B1の既知分子との交叉抗原性をWestern blottingで検討すると,MHC class I抗原,MHC class II抗原,lgs,secretory lga,ラミニン,IV型コラ-ゲン,CEA familyであるbiliary glycoprotein,更に抗ミトコンドリア抗体の対応抗原であるPDH E2 ,PDH E3,BCKG・E2とは抗原性を共存しない。 以上の成績よりPBCではヒト胆管上皮抗原B1に対する細胞性免疫が成因に関与していると考えられる。現在B1分子のT cell epitopeをT cell clone,in situ hybridizationにより作成したモノクロ-ナル抗体を用いて解析中である。
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