研究課題/領域番号 |
01570407
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
高後 裕 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10133183)
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研究分担者 |
茂木 良弘 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30190953)
新津 洋司郎 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10045502)
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キーワード | アルコ-ル / 肝細胞膜 / アシアロ糖蛋白受容体 / HepG2細胞 / Northern blot / Western blot |
研究概要 |
アルコ-ルは肝細胞膜に存在する各種受容体を修飾し、その結果、血清中の糖蛋白やホルモンの肝細胞での取り込み、分解に変調をきたす。またアルコ-ル肝細胞膜受容体の変化は、構造修飾した膜蛋白に対する抗体産生をうながして、アルコ-ル性肝障害の発症、進展に重要な役割を担っていると考えられている。しかし、この肝細胞膜受容体の変化を直接証明した報告は少なく、いまだ不明な点も多い。われわれは、肝細胞に特異的に存在するアシアロ糖蛋白受容体(asisloglycoprotein receptor以下AGPR)がアルコ-ル摂取により減少することを明らかにしたが、これがどのような機構で生ずるのかは不明であり、DNA合成、蛋白合成、細胞内輸送及びレセプタ-蛋白の安定性などの面から検討が必要と考えられる。そこで本年度は、まずAGPR cDNA prorbe及び抗AGPR抗体を作成し、AGPR合成過程におけるmRNAの発現、蛋白合成に与えるEtOHの影響を検討し、以下の結果を得た。 初めに、HepG2細胞(ヒト肝芽腫由来であり、アルブミン合成能やEtOH代謝能などの機構をもち、肝細胞に近い性格を有する細胞株)のAGPR合成に与えるEtOHの影響を検討した。免疫細胞化学的手法により、EtOH添加培養したHepG2細胞のAGPR染色度は低下し、またWestern blot法ではHepG2細胞のAGPR(46kDa及び41kDa)は、EtOH添加培養により、減少していた。ところが1.4kbのAGPR mRNAの発現をみると、蛋白量の減少とは裏腹にEtOH投与により増加し、2週後には5倍まで増強した。さらにこの現象は可逆的であるという興味深い結果が得られた。このことからEtOHによりAGPR蛋白発現量が低下する機序として、DNAより転写されたmRNAがリボゾ-ムで翻訳されるまでの過程の障害が存在すること、及び何らかの理由でDNAからmRNAへのgene transcriptionの機構が増幅されることが考えられた。
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