研究概要 |
平成2年度には次の成績をえた。 1.アンモニア負荷ラットにおける脳グルタミン酸,グルタミンの変動とグルタミン酸受容拮抗剤(MKー801)の影響:SD系ラットに酢酸アンモニウム10mmol/kg i.p.またはMKー801 1ny/kg p.o.のそれぞれ単独ならびにMKー801投与60分後酢酸アンモニウム投与を行ない,神経症状および大脳皮貭のアミノ酸動態を検討した。その結果、アンモニア単独投与では対照(無処置)に比し脳のグルタミン,GABAの増加を認めた。MKー801単独投与の脳アミノ酸パタ-ンは対照と差を認めなかった。MKー801投与後アンモニア投与ではアンモニア単独投与に比しグルタミンの減少,グルタミン酸の増加傾向を認め,神経症状でも高度の痙攣が早期に認められた。すなわち,MKー801にてグルタミン酸→グルタミンの代謝が障害され,アンモニアの毒性が増強されるものと考えられた。 2.肝性脳症を伴うLECラットの病態と脳CCK:1).病態;肝炎自然発生LECラットでは,昏睡度は血液アンモニアと強い関連を認め,血漿分岐鎖アミノ酸(BCAA)と芳香族アミノ酸(AAA)の増加およびBCAA/AAA比の低下とも関連した。2).脳CCK;a).Brain CCK Immunohistochemistry;大脳皮貭のCCK immunoreactive nerve cellの数(mean±SD,個数/100倍視野)は,脳症を伴うLECラットでは脳症を伴わないLECラット(28.6±2.7)に比し減少し、ことに脳症IV度では約1/2(13.0±1.8)に減少した。b).Brain CCK immunoreactivity;脳症を伴わないLECラットの大脳皮貭のCCK IRは67.1±6.9(mean±SEM,pmol/g wet wt,n=8)であり,これに対し脳症を伴うLECラットのCCK IRは41.5±2.6であり,有意(P<0.01)に減少していた。
|