主としてモルモット単離壁細胞を用いて壁細胞のレセプタ-の感受性についての研究を行い、以下の研究成果を得た。 1. ^<14>Cーaminopyrine取り込み法による酸分泌反応の測定は、各種酸分泌刺激剤および酸分泌抑制剤に対する単離壁細胞レセプタ-の感受性の評価に有用であることを確認した。 2.細胞内Ca^<++>濃度の変動の測定は、単離壁細胞のムスカリンレセプタ-およびガストリンレセプタ-の感受性の評価に有用であることを確認した。 3.細胞内cyclic AMP濃度の変動は、単離壁細胞のH_2レセプタ-の感受性の評価に有用であることを確認した。 4.電顕標本による壁細胞の超微形態学的変化の観察は、壁細胞のレセプタ-の感受性の評価に有用であることを確認した。本法を用いてH_2レセプタ-拮抗剤とプロントポンプ阻害剤との酸分泌抑制機序の違いを形態学的に観察した。 5.モルモット単離壁細胞から得られたmicrosomal fractionを用いたradioreceptor assayによる各種物質の壁細胞膜への結合親和性を評価する方法を確立し、ムスカリンレセプタ-拮抗剤であるpirenzepineが壁細胞に直接作用を有することを確認する成績を得た。 6. ^<14>Cーaminopyrine取り込み法およびradioreceptor assayを用いて、壁細胞にβ_2アドレナリンレセプタ-が存在することを示唆する成績を得た。 7.6例の胃十二指腸疾患患者に内的鏡的Congo red試験を行い、酸分泌領域のうち速く変色する部位と遅く変色する部位とから生検を行い、細胞単離法により単位湿重量あたりの細胞数を算出し、同時に電顕標本を作成して壁細胞の感受性を検討した。その結果、両者の変色の速さの差は感受性の差ではなく、数の差に基づくものと結論された。
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