研究概要 |
サルコイド-シスの発症には何らかの免疫異常の関与が示唆されており、HLAをマ-カ-として、その免疫遺伝学的側面を探る研究が広く行われている。以前サルコイド-シスとHLAーDRw52抗原の相関を報告して以来,我々には同症患におけるHLAの役割を研究してきたが,今年はHLAーDQ抗原及びその遺伝子を主な解析対象とした。 HLAーDQ抗原系は血清学的にはDQw1〜w9の特異性を有しているが,生化学的,分子生物学的にはさらに多くの多型を示すことが知られている。症患によってはDR抗原との相関連鎖が重視されていたものが,遺伝子レベルの解析によってDQ抗原のはたす役割がより重要であることが判明した例もある。 今回我々は、日本人サルコイド-シス患者32名と,健常人対照47名を比較解析の対象とし,末析血より得られた高分子DNAを6種類の制限酵素で消化後、DQα、DQβのcDNAをプロ-ブとして用いたRFLPを行なった。その結果、 1)DQα、DQβ遺伝子についても血消学的タイピングを上回る多型がRFLPで確認され、いくつかのワラグメントの頻度は患者群と対照群で差が見られた。 2)RFLPで示されたDQ遺伝子フラグメントの有無によって、患者をさらに2群に分けることができ、両群間でその臨床動態に差が見られた。 今後はサルコイド-シス発症におけるHLAーDQ抗原の役割にも目を向け、Tcell受容体遺伝子も合わせて解析する予定である。
|