以下の点に主眼を置いて実験を行った。1.20μ、50μのシリコン膜上でのラット線維芽細胞の生育の仕方の差についての検討。2.よりcofluentにシリコン膜上に線維芽細胞を生育させる方法の検討。3.超薄シリコン膜の力学的特性の検討、4.Latexゴム上に線維芽細胞の培養が可能か否かの検討。結果。1に付いて;理由は不明であるが20よりも50μの膜上に生育し易い傾向にあった。2に付いて;平坦な20μのシリコン膜上にRBMI-1640培養液を用いて培養した場合膜に付着せず浮遊する細胞が出現する。しかしこれらの浮遊細胞をシリコン膜無しの培養シャ-レに移して培養すると付着増殖した。即ち、浮遊細胞も十分なviabilityを有していた。シリコン膜への付着を増加させるため牛胎児血清(FCS)で一昼夜incubationした培養系を使用した。FCS無処理の時よりも細胞は密に付着増殖した。しかし、よりconfluentな生育が必要であった。200μg/mlの牛(fibronect溶液で一昼夜処理を行った膜上で培養した。FCS-coatingの時よりも満足すべき結果であった。現在線維芽細胞と同種のラットfibronectionで検討を重ねている。3について;20μのシリコン膜は実験装置内では極めてcompliantでほぼ完全な弾性体として動作した。即ち、直径6センチの膜を10mlの温水でド-ム状に変形させた時の内圧は僅かに1.6cmH_20であり、ド-ムの体積-内圧曲線はヒステレシスを示さなかった。この装置で得たい情報は細胞がシリコン膜上で接線方向に歪を与えられたときの応力である。この応力を正確に知るためにシリコン膜に1mm間隔に突起を有するもの、膜の表面が波型にうねっているものを作成しその特性を検討している。4について;ゴムは可能な限り薄い方が望ましいためシリコンに代わるものとして20ミクロンのlatexゴムを使用してみたがlatexゴム上では細胞は生育しなかった。
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