死菌BCG感作家兎の気管支肺胞洗浄液(BAL)細胞を抗原としてマウスを過免疫した。得られたマウス免疫脾細胞とNS-1マウス骨髄腫細胞を細胞融合させた。スクリ-ニングとクロ-ニングを繰り返し、死菌BCG感作家兎よりBALマクロファ-ジ(BAL-Mφ)と反応し、正常家兎よりBAL-Mφとは反応しない単クロ-ン性抗体を得、AM-1と名付けた。AM-1の解析は、標的細胞として正常家兎および死菌BCG感作家兎のBAL細胞、末梢血を用い、免疫組織学的染色(ABC法)、フロ-サイトメトリ-にて行った。AM-1は正常家兎のBAL-Mφとは反応性を示さず、同様に正常家兎のBAL好中球・リンパ球、末梢血単球・赤血球・血小板・好中球・リンパ球、そのいずれとも交叉反応性を示さなかった。しかし、死菌BCG感作家兎のBAL-Mφとは反応し、死菌BCG感作3日後、7日後の家兎のBAL-Mφの陽性率は90%以上であった。さらに、感作後の日数を経るに従い陽性率は、14日後;61%、21日後;27%、28日後;24%と低下する傾向を示した。なお、BAL好中球・リンパ球とも一部交叉反応を示した。また、Ouchterlony法によるAM-1のIgサブクラスはIgG_<2b>であった。AM-1は正常家兎の肺胞Mφとは反応せず、死菌BCG感作家兎の肺胞Mφと反応性を示したことから、AM-1の認識している表面膜抗原はマクロファ-ジの活性化に関連した抗原と推定され、その早期より出現する抗原と考えられる。家兎の活性化肺胞Mφを認識する抗体の報告は未だなく、本抗体は、肺胞マクロファ-ジの活性化の機構、肉芽腫性肺疾患の研究において極めて有用な抗体と考えられる。今後、認識抗原と機能の関係を明らかにする予定である。
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